TOKYO SKINDIVER 37

TOKYO SKINDIVER 37は、60年代のスキンダイバーウォッチの外観上の特徴や、万能時計として使える当時の絶妙なサイズだけでなく、手頃で手軽な美しい実用時計としての当時の市場ポジショニングまでも含めて蘇らせることを目的として誕生したスキンダイバーウォッチです。

実用性の追求がもたらした本物の美しさ、すなわち機能美を日本の美意識で再構築した独自のデザイン文法で、ラグジュアリーを超える美しさを持つ実用時計として具現化したものです。

ロービートムーブメントの運針を4ステップクォーツムーブメントで再現し、日常での実用性の高い手軽な運用性を実現しつつ、性能や外装の質感向上のためにコスト配分を最適化。ねじ込み式竜頭と大径化されたスクリューバックで現在の基準の20気圧防水を達成し、セラミックベゼルインサート、逆回転防止ラチェット式回転ベゼル、C3蓄光など高級ダイバーズウォッチに求められる要素をすべて備え、さらに特に高コストなボックスサファイア風防、そして回転ベゼルつきのスポーツウォッチには異例のボンベダイアルと先曲げ分秒針まで惜しむことなく採用しています。

サイズに宿るスキンダイバーの真髄

スキンダイバーは、週末をビーチで過ごし、月曜日にはドレスシャツの袖口に収まっているという使い方ができたコンパクトでスタイリッシュな万能スポーツウォッチでした。37.2mmのベゼル径、ケース横幅は36.7mm、縦幅は47.4mmという、1960年代のスキンダイバーを万能時計たらしめた、当時最も多く見られた絶妙な寸法を忠実に再現しています。 一見ランダムな数字に見えるこれらの数字は、現在でもムーブメントのサイズを表す単位として使われている「リーニュ」です。それぞれ16 1/2"、16 1/4"、21"に相当し、TOKYO SKINDIVER 37も重要部分には1/4刻みのリーニュで設計を行っています。

小さく着けて大きく見せる。サイズを超える存在感。

ケース径に対して47.4mmと長大なラグ端からラグ端までのケース縦幅は、スクエアに切り取られたラグとともにケースフェイスにゆとりある広さを与え、大きなダイアル開口径を持つボンベダイアルとボックスサファイア風防のレンズ効果と相まって、39mmダイバーズに匹敵する存在感を放ちます。

薄いアーチ形状のH型ケース​

1960年代のスキンダイバーウォッチを象徴するプリミティブでシンプルなH型ケースの中でも、多数のブランドに供給された薄型のアーチもつ代表的なケースを再現しています。 幅広い着用シーンへの対応を想定し、エレガントさを重視した薄く繊細なアーチを描くケースサイド。視覚的に中央にステムが通るように緻密な設計でムーブメントを配置しています。面取りとともに日本刀の反りと鋒を思わせる形状は、美観を優先してラグ穴を貫通させていません。 薄いケースミドルは、見た目の軽快さだけでなく時計の軽量化にも貢献。高めに配置されたアーチと長いケース縦幅は、ケースのエッジを肌から浮かせることで丸みを帯びたスクリューバックの底面だけが手首の肌に優しく沈み込むように接触します。その分さらに薄く感じられ、手首の骨との干渉を回避し装着感も快適です。

独自の平面形状。ケース裏の工夫

スクリューバックは現代の防水基準に合わせ大型化。ケースのラグ裏は薄型のアーチを補完し、ラグ穴周辺の肉厚を最適化する平面形状を組み込んだ独自の設計で工夫をこらしています。ヴィンテージ物に見られる鋭角のエッジを排除し、NATOストラップを傷つけないように配慮しています。

風防の底に広がる深淵。ボンベダイアルとボックスサファイア風防。

中央にかけてドーム状に盛り上がった球面のボンベダイアル。1950年代のドレスウォッチの様式を引き継いだ一部のスキンダイバーは、風防を通じた文字板に吸い込まれるような奥行きをもっていました。ボックスタイプの風防によるレンズ効果だけでも立体感はある程度出せますが、ボックスサファイア風防とボンベダイヤルの両方の組み合わせでしか表現できない圧倒的な深みと奥行きをブランドシグネチャーとして取り入れています。先端を曲面に沿って曲げた分秒針とともに、ひと目で良い時計だと分かる、独特の存在感を放ちます。 最新の材料と技術で実現した、当時よりも格段に大きなダイアル開口径がより多くの外光を取りこみ、光沢を放つ漆黒の曲面で時計に奥行きを与え、深みのある美しさを余すことなく表現します。特に回転ベゼルを備えたダイバーズウォッチでは一部の高級機でしか再現されない特徴ですが、最も美しいスキンダイバーウォッチに不可欠な要素としてコストを惜しむこと無く採用しています。

針とインデックス。静と動の対比。​

WATA TOKEIのデザイン文法として確立した、等長等幅略字、中央寄せ飛び数字のシンプルな文字盤に、対比させるように時分針は極太のソード型を配置。極細の秒針が文字盤内の情報の優先順位を明確にしています。

回転ベゼル。セラミックベゼルインサート​

120クリックの逆回転防止ラチェット機構を持つサージカルステンレス製の回転ベゼルには、文字盤と統一した独自書体でレーザー刻印を施したセラミック製のベゼルインサートを備え、機能面と素材、質感のすべてで大幅に近代化しています。 簡易防水時計だった1960年代のスキンダイバーの多くは、クリックのない両方向に回転する簡素なフリクションフィット方式のアルミ製ベゼルでした。

専用設計の総無垢Hリンクブレスレット

スキンダイバーウォッチの万能性に、go-anywhere-do-anything (GADA)※スポーツウォッチとしての要素を加えるべく、シンプルでクセのないスタンダードな形状のツールウォッチにふさわしい堅牢な構造のHリンクブレスレットを専用設計。 普遍的な3連ブレスレットに倣った断面形状とリンクピッチ。2倍の回転軸で肌になじむ快適な装着感。リンクの「H字」は、縦横画の太さのバランスを取り、余計な装飾やアクセントを省いたプレーンでクリーンなデザインとしています。 ケースはケースらしく、ブレスレットはブレスレットらしく。プリミティブなH型ケースの造形、そしてブレスレットのプレーンな造形をそれぞれ際立たせるため、エンドリンクはブレスレットとの連続性を優先し、あえてケース面との連続性を絶ち、段差を残しています。 ブレスレットは19mmからダブルロッククラスプにかけて16mmにテーパードされています。 ※GADA : 「どこにでも行って、何でもできる」万能腕時計。ステンレスやチタンなどの普遍的な外装素材の小さめの時計で、落ち着いて控えめなデザインと色、金属ブレスレットを備え、シーンを問わず日常にヘビーユースできる時計を意味する比較的新しい言葉です。

スキンダイバー専用に留まらない、防水性能

1960年代の腕時計の防水技術は、製造加工、素材、機構、設計のすべてが発展途上にあっただけでなく、回避すべき他社の特許の存在など、大きく制限されていました。そこで用途をライトデューティーに限定し、必要十分な防水性能に留めたスキンダイバーウォッチは大衆の需要を捉えて人気を博しました。ケースや文字盤には20気圧防水の表示が誇らしげに明記されていたものの、ガスケットを施した竜頭、スクリューバックケース、樹脂風防を内側からテンションリングで補強したシンプルな構造で、実際の実用深度はそれよりも浅いものでした。
Tokyo Skindiver 37は、最新の防水設計により、ねじ込み竜頭、強化されたスクリューバックを備え、十分な安全マージンを確保しながら200Mの防水性能を実現しています。
コンパクトでスタイリッシュなヴィンテージデザインを維持しながらも、もはやスキンダイバー専用の時計に留まらない防水性能を誇ります。

新たなクォーツ革命。4ステップクオーツムーブメント

1/4秒ごとに秒針が時を刻むロービートの機械式ムーブメントの運針を再現しながら、万能実用時計としてのスキンダイバーをより的確に再現できる毎秒4ステップのクオーツムーブメントを採用。ヴィンテージウォッチの雰囲気をそのままに、ユーティリティウォッチの道具としての使い勝手と、1960年代当時と同等の手頃さという市場ポジショニングの再現を同時に実現しました。

手にとってそのまま出かけられる、まさにグラブアンドゴーの手軽さ。月差を許容できる限り数ヶ月にわたって竜頭の操作すら必要の無いエフォートレスな運用が可能。機械式につきまとう維持メンテナンスコストやパワーリザーブ管理の煩わしさを解消し、実用時計としてのスキンダイバーを正常進化させています。

クオーツムーブメントの採用で、コスト配分を外装部品に振り分けることで、ボンベダイアルと先を曲げた分秒針、セラミックベゼルインサート、ボックスサファイア風防、総無垢ブレスレットといったより高価な素材や機構、加工技術に惜しみなく投入し、機能と質感を飛躍的に向上させています。

WATA TOKEIはVH31を単に機械式ムーブメントの秒針のテイストを再現できる手軽な代替と見なしてはいません。ミッションクリティカルなダイバーズウォッチが求める、通常のクオーツムーブメントの4倍もの強い駆動トルクは、60年代当時のスキンダイバーウォッチ以上にその本質を進化させることができる唯一のクオーツムーブメントなのです。

かつてクオーツショックの波を乗り越えられないまま70年代に姿を消したスキンダイバーウォッチが、新たなクオーツ革命で日本から蘇ります。

ブランドオーナーによる徹底した設計

美しいスキンダイバーウォッチを求めて、妥協することなく徹底的に追求をしたい。繊細な美しさは無数の試行錯誤を通じてのみ捉えることができる。その信念によりムーブメントとクラスプ以外、細部に至るまですべてをブランドオーナー自らが情熱を注ぎ込んで設計しています。

ケース、ブレスレットだけでなく、回転ベゼルや竜頭のローレットの刻みパターン、針、サファイア風防、文字盤、ベゼルインサートの断面形状までの外装部品だけでなく、文字盤のインデックスや、ニュートラルな全体のイメージを崩さないヴィンテージデザインと調和するブランドロゴ、ニューメラルズの数字書体、日本の浪の丸紋をアレンジしたケースバックのロゴまでの細部に至るまでのすべてを確固たるブランドフィロソフィーが構築したシグネチャースタイルに則ってデザインしています。

防水構造、回転ベゼルのラチェット機構、ムーブメントホルダによる実装といった機構構造面については、長年の経験を持つ設計エンジニアの監修を得て、信頼性の高い腕時計を完成させました。