ブランドストーリー

WATA TOKEIは、日本の美意識を取り入れた美しいスキンダイバーウォッチを生み出すために誕生しました。日本の古い言葉で「海」を意味する「ワタ」と「時計」を組み合わせたブランド名に、シンプルかつストレートに「海の時計」をつくりたいという想いを込めています。

すべてのはじまりは、海でした。

2010年代半ば、10kmのマラソンスイミングを初完泳し、週末を海辺で過ごすようになった頃。そうしたライフスタイルを象徴するヴィンテージウォッチを求めて出会ったのが、1960年代のスキンダイバーウォッチでした。

スキンダイバーウォッチの再浮上を目指して、深淵への潜行。

その美しさに深く魅了され、長年にわたって日常に愛用しながらコレクションを増やします。しかし、水濡れを避けながらダイバーズウォッチを使わなければならない矛盾はヴィンテージウォッチの宿命とは言え悲しいものがあります。一方で復刻モデルの多くは高級志向に過ぎ、当時の手頃で実用的な道具とはかけ離れた存在になっていました。 また、メーカーの「現代解釈」によるアップサイズも1960年代のスキンダイバーを万能時計たらしめた絶妙なサイズを損うものでした。本来スキンダイバーウォッチは、もっと気軽にあらゆる冒険を共にできる存在だったはずです。

「単に美しい外観だけでなく、1960年代の手頃な実用時計としての位置づけも含めて再現することで、スキンダイバーの魂を蘇らせることはできないだろうか?」

「決して腕時計に記号性を求めるウォッチスノッブ層のためのラグジュアリー志向の時計ではないけれど、それらを凌ぐ本物の美しさを持つ大衆志向の手頃な実用時計を生み出すことができれば、痛快ではないだろうか?」

シンプルさに宿る美しさの秘密を解き明かし、象徴的なサイズとディテールを忠実に再現したい。私の中に、自らの手で理想の時計を設計するという夢が芽生えたのです。

日本の美意識によるスキンダイバーウォッチの再構築

最小の要素で構成されるシンプルを極めたスキンダイバーの繊細な造形は、わずかな違いが時計の表情や個性を大きく左右します。 繊細な線を捉え、独特の美しさを宿らせるためには、コンセプトスケッチよりも無数の試行錯誤を通じた徹底的な追求が不可欠だと判断しました。現在に至るまで長年メディアエンターテインメント業界に身を置き、キャリア初期にグラフィックデザインと3Dアニメーション制作に携わっていた経験をもとにCADで自ら設計する道を選びます。
膨大な数のデザイン習作や実験を繰り返すなかで、スキンダイバーウォッチが持つ美しさは、過剰な防水性能や不要な機構、装飾性を排除し、実用性を究めた結果の機能美であるという結論に至ります。 スキンダイバーのスタイルには、すでに禅や引き算の美学に通じる精神が内在していたのです。 つまり私を魅了したものの正体は、日本の美意識と同質の、実用性の追求が生んだエレガントなシンプルさだったのです。
新たな視点を得た私は、ヴィンテージの表層的な模倣ではなく、スキンダイバーの精神を日本的な美意識で再構築することによって継承することを目指します。実用性と美しさは車の両輪の関係であると捉え、模索を重ねるなかで確立した独自の様式が、WATA TOKEIのシグネチャースタイルです。
 

“Form Forged by Utility. Beauty Beyond Luxury.” 「実用性が鍛えた造形。ラグジュアリーを超える美しさ」

設計段階で見出したスキンダイバーの真髄はWATA TOKEIのブランドフィロソフィーとなり、新たなタイムピースを体現する指標となったのです。