スキンダイバーの機能美と日本の美に根ざした独自の様式

スキンダイバーウォッチは、1950年代から60年代にかけて急増するマリンスポーツの人気の高まりとともに生まれた、大衆向けの手頃な簡易潜水腕時計です。防水性能をライトデューティー用途に限定することで、実用性と独特の美しさを備えていました。

シンプルなH型ケース、堅牢なロービートムーブメント、黒いダイヤル、視認性に優れる大胆な形状の夜光インデックスと針。無駄や装飾性を省いたこれらの要素が、実用性を追求した道具としての美しさを形成しています。

WATA TOKEIスタイルは、スキンダイバーウォッチの機能美なかに共通性を見出した日本の美意識によって、本質的な美しさと実用性を追求して再構築することで確立した独自のデザイン様式です。表層的なヴィンテージスタイルの模倣ではなく、オリジナルデザインを通じてブランドの哲学を体現するためのWATA TOKEIのシグネチャースタイルです。

シンプルさの極致 - 日本の美意識を形に。

WATA TOKEIスタイルは、日本の「引き算の美学」を体現しています。H型ケースは球面と直線、円弧だけで構成され、無駄を削ぎ落とした潔さが際立たせています。漆器を思わせる艶やかな黒い文字盤は光を柔らかく捉え、蒔絵のように繊細なプリントインデックスが浮かび上がります。アプライドインデックスを排し、等長のバーインデックスと中央寄せの飛び数字、先端を曲げた大胆な太い針で構成。究極のシンプルさと視認性を両立させ、ツール感やタフネスではなく、最小限の要素が繊細に織りなす佇まいを体現しています。

文字板の再構築:中央寄せ飛び数字と等長等幅インデックス

ツールウォッチの基本である「視認性の最大化」を目指し、定番の「3-6-9」や「12-3-6-9」の飛び数字スタイルを再考しました。インデックスの代わりにダイヤルの周囲に大きな数字を置くことが、果たして本当に視認性を高めているのか?大きな数字がかえって見づらくはないか?15分ごとに読み取り条件が変わってしまう文字盤が果たして機能的と言えるのだろうか?——長年感じていたツールウォッチの文字盤への素朴な疑問です。

潜水よりも陸上使用が中心のスキンダイバーでは、普段使いでの快適さが優先されるべきと考え、すべての時刻を同じ条件で読み取れるよう、インデックスを等長等幅に統一したうえで、飛び数字の役割は、文字板の上下左右を示す手がかりとして中央に寄せて配置しています。

静と動の対比

静的で繊細な文字板デザインとは対照的に、大胆な太さの針をダイナミックに配し、視認性、機能性のなかにシンプルさと洗練を両立させた独自の様式として完成させました。

専用のインハウス数字書体

WATA TOKEIでは、文字板デザインはもちろん、回転ベゼル上のニューメラルズ(数字表示)にも統一感をもたせ、時計全体の美しさとイメージに調和した、繊細に太さを自在にコントロールできるように独自の数字書体を起こています。

ボックスサファイア風防とボンベダイアル。風防の底に広がる深淵。

WATA TOKEIスタイルの核となるのが、中央にかけてドーム状に盛り上がった球面のボンベダイアルです。
1950年代のドレスウォッチの様式を引き継いだ一部のスキンダイバーは、風防を通じた文字板に吸い込まれるような奥行きをもっていました。ボックスタイプの風防によるレンズ効果だけでも立体感はある程度出せますが、ボックスサファイア風防とボンベダイヤルの両方の組み合わせでしか表現できない圧倒的な深みと奥行きをブランドシグネチャースタイルに取り入れています。先端を曲面に沿って曲げた分秒針とともにコストのかかる様式ですが、ひと目で良い時計だと分かる、独特の存在感を放ちます。

最新の材料と技術で実現した、当時よりも格段に大きなダイアル開口径がより多くの外光を取りこみ、光沢を放つ漆黒の曲面で時計に奥行きを与え、深みのある美しさを余すことなく表現します。特に回転ベゼルを備えたダイバーズウォッチでは一部の高級機でしか再現されない特徴ですが、最も美しいスキンダイバーウォッチに不可欠な要素としてコストを惜しむこと無く採用しています。